市民後見人とは

住み慣れた地域で、安全かつ安心して暮らしたいというのは誰もが希望することですが、認知症や知的障がい、精神障がいなどの状況によっては判断能力面でのお手伝いが必要になってきます。そのようなご本人様の権利をおまもりするために平成12年に「成年後見制度」が始まりました。
この成年後見制度において今まで成年後見人・保佐人・補助人(以下、「成年後見人等」)になるのは、ご親族様をはじめ、弁護士や司法書士、社会福祉士等の各分野における専門資格を有した専門職が主でしたが、現在、成年後見人等の新たな担い手として、この「市民後見人」が注目されています。
なお、市民後見人についてはその定義が明確に定まっているわけではありませんが、以下の研究会報告書等において次のように示されています。

◎日本成年後見学会作成「市町村における権利擁護機能のあり方に関する研究会」
(平成18年度報告書より)
市民後見人とは、弁護士や司法書士などの資格はもたないものの、社会貢献への意欲や倫理が高い一般市民の中から、成年後見制度に関する一定の知識・態度を身に付けた良質の第三者後見人等の候補者

ここ数年、成年後見制度の利用者数は増加しており、ご親族様以外の第三者が成年後見人等として家庭裁判所から選任されるケースが非常に多くなっています。これは笠岡市及び里庄町においても同様のことが言えますが、しかしながら、特にこの井笠地域では成年後見人等に就任していただける専門職数が不足している状況が続いています。
市民後見人は、確かに第三者後見人の受け皿不足の解消という側面もありますが、住み慣れた地域で生活するご本人様を地域で支えていく「地域福祉」の理念に基づき、より身近な存在である一般市民の方が成年後見人等として活動することで、ご本人様との面会が頻繁にでき、住民目線で生活状況を見ていくことができるため、ご本人様に対して仕事として関わる専門職では気づかない小さなことへの配慮が可能になります。
また、ご本人様が近隣の住民の方と良好な関係を保ちながら生活できるように、市民後見人が地域に対して働きかけたりすることで、地域の福祉意識の向上に繋がり、単に後見活動をすることだけにとどまらず、結果として地域福祉の推進役としての役割も担うことが期待できるというメリットがあります。

市民後見人養成課程の概要

市民後見人養成課程とは

平成24年4月1日、老人福祉法が改正され、市町村及び都道府県には市民後見人の養成について努力義務が課せられるようになりました。
笠岡市では、この改正に先駆けて平成23年度から、里庄町では平成24年度から、市民後見人の養成に取り組んでおり、養成課程では市民後見人として活動できる良質な人材を養成することを目的として、成年後見制度に関する知識や技術が習得できるようにカリキュラムを組んで様々な研修会等を実施しています。
なお、この養成課程は、センターが笠岡市及び里庄町から委託等を受けて実施しており、2年間をかけて市民後見人を養成しています。

カリキュラムの内容

◎基礎課程(養成1年目)

自治体推薦コース 笠岡市または里庄町から推薦を受けた者として受講していただきます。研修費等は全額免除となります。
自薦コース 岡山県社会福祉協議会開催研修を受講後、養成課程受講の有無を決めていただくコースです。なお研修費等は自己負担となります。
◎応用課程(養成2年目)

市民後見人の活動支援

市民後見人は、センターとの複数後見で活動を行い、受任1年目は主に身上監護を中心とした活動を行っていただきます。また、受任2年目以降については、センターとの複数後見で活動していくことには変わりはありませんが、センターは監督人的な立場としてケースに関わり、基本的には市民後見人が単独で財産管理及び身上監護を行っていくこととしています。